「40代からの男性に多い“前立腺肥大症”とは?」
- 2025/05/30
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こんにちは。
今回は、40代以降の男性に増えてくる「前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)」についてお話しします。
「最近トイレが近い」「尿の勢いが弱くなった」と感じていても、「年のせいかな」とそのままにしてしまっていませんか?
実はそれ、前立腺肥大症という病気のサインかもしれません。
前立腺とは?どんな病気?
前立腺は男性にだけある臓器で、膀胱の下、尿道を取り囲むように存在しています。
この前立腺が年齢とともに大きくなっていくことで、尿の通り道である尿道が圧迫され、排尿しづらくなる状態を「前立腺肥大症」と呼びます。
前立腺肥大症は良性の病気ですが、放っておくと日常生活に支障をきたすこともあり、症状が強くなると残尿や腎機能への影響が出ることもあります。
どんな症状が出るの?
前立腺肥大症の症状は、大きく分けて3つのタイプがあります。
1. 排尿に関する症状(排出症状)
- 尿の勢いが弱い
- 出始めに時間がかかる
- 尿が途中で途切れる
- 排尿後もすっきりしない(残尿感)
2. 尿をためる症状(蓄尿症状)
- 昼夜問わずトイレが近い(頻尿)
- 急に強い尿意を感じる(尿意切迫感)
- トイレに間に合わないことがある(尿漏れ)
3. 排尿後の症状
- 尿がポタポタと漏れる(尿滴下)
- 排尿後にもまだ尿が残っている感じがする
これらの症状が複数当てはまるようであれば、一度泌尿器科での相談をおすすめします。
IPSSスコアで重症度をチェック
前立腺肥大症では、自覚症状を数値化するために「IPSS(国際前立腺症状スコア)」という質問票を使います。
7つの質問(排尿に関する自覚症状)と生活の困り具合について自己評価していただき、合計点で重症度を分類します。
初診時にIPSSスコアを使うことで、ご自身の症状の傾向を把握しやすくなります。
合計点 | 症状の重さ |
---|---|
0〜7点 | 軽度 |
8〜19点 | 中等度 |
20〜35点 | 高度 |
検査は痛くない?どんな内容?
検査では、次のような項目を行うことが多いです。
- 問診(症状・IPSSスコア)
- 超音波検査(前立腺の大きさ・残尿量の評価)
- 尿流測定(排尿の勢いや量を確認)
- PSA検査(前立腺がんとの区別のための血液検査)
必要に応じて直腸診(肛門からの触診)も行うことがありますが、数秒で終わる検査です。
治療法は?薬から手術まで
治療は症状の程度や患者さんの希望に応じて段階的に行います。
薬物療法(初期段階)
- α1遮断薬: 尿道の筋肉をゆるめ、排尿をスムーズに
- 5α還元酵素阻害薬: 前立腺を縮小させる
- PDE5阻害薬: 血流を改善し排尿にも効果あり
手術療法(重症または薬が効かない場合)
- 経尿道的前立腺切除術(TURP)
- 水蒸気治療(Rezum™)
- 前立腺吊り上げ術(UroLift)など
近年は体にやさしい低侵襲の選択肢も増えてきています。
最後に ~我慢せず、気軽に相談を
「前立腺肥大症」は、40代以降の男性の多くに見られる、決して珍しくない病気です。
「恥ずかしい」「まだ大丈夫」と思って受診が遅れる方も多いですが、適切な治療によって生活の質が大きく改善することもあります。
当院では、患者さん一人ひとりの症状に合わせた診療を心がけ、安心してご相談いただけるよう努めています。
気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。