50歳以上からの前立腺がん検診
- 2025/10/22
- 医療コラム
50歳以上からの前立腺がん検診
最近、「50歳を超えたら前立腺がんの検診を受けた方がいい」と耳にしませんか?
実は前立腺がんは初期に自覚症状が少なく、気づいた時には進行しているケースもあります。
この記事では、50歳以上の男性に向けて、検診の意義・検査方法・受診の目安をわかりやすく解説します。
目次
- 前立腺がんとは?50歳以上で増える理由
- 検診で使われるPSA検査とは?
- 誰が検診を受けるべき?年齢・頻度の目安
- 検診のメリットと注意点(過剰診断も含めて)
- 検診で異常が出たらどうする?次のステップ
- 日常生活でできる予防・健康習慣
- まとめ:検診をためらわないでください
前立腺がんとは?50歳以上で増える理由
前立腺がんは、男性のみに存在する「前立腺」に発生するがんです。
加齢とともに発症率が高くなり、特に50歳を過ぎると急激に増加します。
日本では男性のがんの中で罹患数が上位を占め、年々増加傾向にあります。
初期の段階では症状がほとんどないため、検診を受けていないと発見が遅れることも少なくありません。
症状が出る頃には進行しているケースもあるため、早期発見のための検診がとても重要です。
検診で使われるPSA検査とは?
前立腺がん検診の中心となるのが、PSA(前立腺特異抗原)検査です。
これは採血で測定できる簡単な検査で、PSA値が高いと前立腺がんの可能性が高くなります。
ただし、PSA値が高い=がんとは限りません。
前立腺肥大症や前立腺炎などでも上昇することがあります。
そのため、異常値が出た場合は泌尿器科での精密検査が推奨されます。
誰が検診を受けるべき?年齢・頻度の目安
多くの自治体では、50歳以上(一部では60歳以上)の男性を対象に前立腺がん検診を実施しています。
年1回のPSA検査が基本で、家族に前立腺がんの既往がある場合は早めの検査が推奨されます。
ただし、全国で統一された「対策型がん検診」にはまだ含まれていないため、実施有無や費用は自治体によって異なります。
地域の検診制度を確認し、気になる場合は直接泌尿器科を受診しましょう。
検診のメリットと注意点(過剰診断も含めて)
検診の最大のメリットは、症状が出る前にがんを見つけられることです。
早期に見つかれば治療の選択肢が広がり、前立腺がんによる死亡率を下げることが可能です。
一方で、すべてのがんがすぐに命に関わるわけではありません。
中には「進行の遅いがん」もあり、過剰診断・過剰治療が問題になることもあります。
そのため、PSA検査は結果を踏まえた上で、医師と一緒に方針を考えることが大切です。
検診で異常が出たらどうする?次のステップ
PSA値が高かった場合は、次のような流れで精密検査を行います。
- エコー検査(超音波で形や腫瘍の有無を確認)
- MRI検査(より詳細に腫瘍の位置や範囲を確認)
- 前立腺生検(組織を採取してがんの確定診断)
結果によっては経過観察を行う場合もあり、すぐに治療が必要とは限りません。
治療の必要性や方法は、年齢・合併症・希望に合わせて個別に決定されます。
日常生活でできる予防・健康習慣
前立腺がんの発症を完全に防ぐ方法はありませんが、次のような生活習慣が予防に有効である可能性が示唆されています。
- 野菜・果物を多く摂る(特にトマト・大豆製品)
- 動物性脂肪を控える(赤身肉や乳製品の摂りすぎに注意)
- 定期的な運動を習慣化する
- 肥満・糖尿病・高血圧の管理を行う
- 禁煙・節酒を心がける
これらの生活改善は、前立腺がんだけでなく他の生活習慣病の予防にもつながります。
まとめ:検診をためらわないでください
前立腺がんは、50歳を過ぎた男性にとって決して他人事ではありません。
PSA検査は採血で簡単に分かるため、早期発見の大きな手がかりになります。
「まだ大丈夫」と思わず、一度は検診を受けてみること。
それが、ご自身の健康を守る第一歩です。
当院では、地域の皆さまが安心して相談できる“泌尿器科のかかりつけ医”を目指して、前立腺がん検診やPSA検査の相談を行える環境を作っていこうと考えています。